2011年度の緊急地震速報、精度は28%から56%に改善

2012/06/01 06:45


緊急地震速報気象庁は2012年5月31日、同庁の2012年度版業務評価レポートを発表した。それによると2011年度に同庁が発表した「緊急地震速報」において、「的中判定」を行えた地域の割合は「56%」に達し、前年度2010年度の28%から倍増する形となったことが分かった(【発表リリース】)。



↑ 緊急地震速報の精度
↑ 緊急地震速報の精度

「緊急地震速報」とは2007年10月から導入された仕組み。各地に設けられた観測点の状況を網羅するシステムを構築し、地震のP波(初期微動)とS波(主要動)を観測、両波の到達時間の差異などを利用。可能ならばP波到達前に、それが無理でもS波で大きなゆれが生じる前に警戒を発しようというもの。

今般では「最大震度5弱以上の揺れが予想されたときに、強い揺れが予想される地域に対し地震動により重大な災害が起こるおそれのある旨を警告して発表するもの」「強い揺れ(震度5弱以上)が予測される地域及び震度4が予測される地域名」が「緊急地震速報」の発表ライン(【緊急地震速報のしくみと予報・警報】)。これについて結果的に予想誤差がプラスマイナス1以内に収まった地域の割合を、「的中」の指標としている。

グラフを見れば分かるように、制度スタート以降2009年度までは的中確率が70-80%と高めに推移していた。しかし2011年3月11日の東日本大地震とその後の度重なる余震により、複数同時発生の地震を分散処理することができず、適切な速報が発表できない事例が多発し、指標値は大幅に低下。そこで「同時発生地震の適切分離処理手法の導入」「観測点増幅度(地面の揺れやすさを震度予想に反映させるため、観測点毎に設定する補正値)の導入」などで精度改善を模索。結果として2010年度の28%から2011年度は56%へと倍増することとなった。

気象庁では今後も予想精度の向上を図り、2015年度までに85%以上の「的中」判定を受けることを目標に定めている。不足無きリソースの投入により、適切な改善が継続されることを願いたいものだ。



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