1日2.5件のペース・鉄道係員への暴力行為、2011年度は911件

2012/07/05 06:45


鉄道日本民営鉄道協会は2012年7月4日、2011年度(2011年4月-2012年3月)に発生した、大手民鉄16社(東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京急、東京メトロ、相鉄、名鉄、近鉄、南海、京阪、阪急、阪神、西鉄)、JR東日本、JR西日本、JR東海、東京都交通局、横浜市交通局、名古屋市交通局、大阪市交通局、東京モノレール、北総鉄道、愛知環状鉄道の計26社局における駅員や乗務員など鉄道係員に対する暴力行為の件数に関する集計結果を発表した。それによると2011年度の該当件数は911件に達し、高い水準を維持してしていることが分かった。行為発生の時間帯では深夜が多く、加害者年齢層では40代以上による行為が増加している(【発表リリース】)。



2011年度における該当鉄道会社各社の、鉄道係員に対する(利用客による)暴力行為件数は911件。昨年度の868件より43件増加し、公開データが取得できる2005年度以降では最高値を示している。

↑ 年度別駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数
↑ 年度別駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数

曜日・時間帯別では週末・深夜帯での発生件数が多く、後述する飲酒の有無と合わせ「週末で飲酒しての帰り道」での事例が多いことをうかがわせる。

↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(時間帯別)(2011年度)
↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(時間帯別)(2011年度)

↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(曜日別)(2011年度)
↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(曜日別)(2011年度)

事件発生時の加害者の飲酒状況の有り無しだが、6割近くが「飲酒あり」という結果が出ている。上記の値と合わせ、週末で酒を飲み気が大きくなった利用客による事象発生を想像させる。

↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(加害者の飲酒ありか否か)(2011年度)
↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(加害者の飲酒ありか否か)(2011年度)

発生場所は「改札」が最多で半数近く。次いで「ホーム」や「車内」が続く。無理な改札通過をはじめとする、改札通過時のトラブルがきっかけとなり、鉄道係員との間の事象発生が目に浮かぶ(一度ならずとも目撃した人も少なくあるまい)。

↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(発生場所)(2011年度)
↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(発生場所)(2011年度)

最後は冒頭にも触れた、加害者の年齢。過去5年間をさかのぼってグラフ化したが、発生件数そのものの増加に加え、40代以降の事例が増加しているのが確認できる。

↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(加害者年齢)
↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(加害者年齢)

↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(加害者年齢)(不明をのぞいた件数に対する各世代の構成比)
↑ 駅員や乗務員などの鉄道係員に対する暴力行為の発生件数(加害者年齢)(不明をのぞいた件数に対する各世代の構成比)

人口構成比の高齢化に伴い、利用客の高齢化も起きているはずであり、当然加害者側の年齢構成比も高齢者が多くなるのは容易に想像ができる。一方で「分別がついている」はずの高齢者も、若年層同様の比率で加害者足りえるのは、色々と考えさせられる。

鉄道係員への加害事例においては、「自分はお客の立場で偉いのだから、多少の行為は許容範囲である」と横柄な考えを持つ人によるものもあるだろう。明確な意識として持ち合わせてなくとも、潜在的なものとして有していれば、それが行為のきっかけとなることは容易に想像できる。しかしそれは思い違いでしかなく、鉄道係員が対象で、自らがお客の立場であっても、そして泥酔していたとしても、これらの行為は犯罪行為には違いない。その事実を改めて認識すべきである。



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