次世代型LNG運搬船「さやえんどう」、第一番船起工

2012/12/12 08:30


さやえんどう【三菱重工業(7011)】は2012年12月11日、先に【燃費2割減を実現…三菱重工業、さやえんどう型LNG船「さやえんどう“EXTREM”」の開発完了】でもお伝えした、次世代型LNG(液化天然ガス)運搬船として開発した「さやえんどう」船型の第1番船を、長崎造船所(長崎市)で起工したと発表した。大阪ガスおよび商船三井向けに2011年10月に受注した同型船2隻のうちの1隻で、球形タンクを持つMOSS(モス)方式(タンクを円筒形の支持構造で固定する方式)船を進化させることにより、燃費やメンテナンス性が大幅に向上している。完成・引き渡しは2014年度の予定(【発表リリース】)。



↑ さやえんどう“EXTREM(エクストリーム)
↑ さやえんどう“EXTREM(エクストリーム)(基本形状)

↑ 次世代型LNG運搬船「さやえんどう」(完成イメージ)
↑ 次世代型LNG運搬船「さやえんどう」(完成イメージ)

↑ 起工式
↑ 起工式

このLNG運搬船は、長さ288.0メートル、幅48.94メートル、満水喫水11.55メートル、総トン数13万8000トン(載貨重量トン数7万5000トン)で、航海速力は19.5ノット。タンク総容積は15万5000立方メートル(LNG積載可能量は15万3000立方メートル)となっている。同船は、大阪ガスの100%出資子会社でLNG運搬船の運用を手掛ける大阪ガスインターナショナルトランスポートと、船舶管理会社を務める商船三井の両社による共同保有となる。

さやえんどう船型では、球形タンク4基を、船体と一体構造の連続タンクカバーで覆うことにより、船全体の強度を確保しながら軽量化を実現。さらに、航行中の風圧による抵抗を大幅に軽減する。また、主機関には蒸気を再度加熱利用することで熱エネルギー効率を高めた新型の「MHI Ultra Steam Turbine Plant(UST:再熱舶用推進蒸気タービン)」を採用。燃費は従来船と比べ単位荷物あたり約25%の低減を可能にしている。

連続タンクカバーの採用により、タンク頂上で配管、電線、通路を支える複雑な構造物が不要になることから、メンテナンス性が大幅に向上しており、燃費改善により二酸化炭素排出量も抑制されている。さらに、バラスト水処理装置を搭載することによる海洋生態系への影響低減など、環境対応力も高めている。

↑ 透視比較図
↑ 透視比較図

さやえんどう船型は、本年6月にも商船三井向けを別途受注しており、累計受注隻数は5隻。海運業界で高い関心を集めており、日本の造船業界で開発が活発化している省エネ・環境性能を高めたエコシップを牽引する製品に育ちつつある。三菱重工側では、さやえんどう船型をはじめとするエコシップを船舶・海洋事業で注力する高付加価値化の重点商品と位置づけ、さらなる技術開発およびラインアップ拡充を推進するとともに、国内外での提案営業を一層積極化していくとコメントしている。



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