空間除菌をうたう「ウイルスプロテクター」でやけど事例、消費者庁が使用中止勧告

2013/02/19 14:45


ウイルスプロテクター消費者庁は2013年2月18日、空間除菌を行うとうたっているストラップ型製品「ウイルスプロテクター」について、ただちに使用を中止するように警告を発した。化学熱傷(化学反応に伴うやけど)を起こす事故が複数報告されたことを受けての措置となる(【発表リリース】)。




↑ ウイルスプロテクターの使用中止を伝える報道(公式ニュース映像)。
↑ ウイルスプロテクターの使用中止を伝える報道(公式ニュース映像)。【直接リンクはこちら】

↑ 該当製品:空間除菌剤「ウイルスプロテクター」
↑ 該当製品:空間除菌剤「ウイルスプロテクター」

今回警告が行われた商品は「ウイルスプロテクター」(発売元:ダイトクコーポレーション、輸入元:ERA Japan)。内部に収められた次亜塩素酸ナトリウムの錠剤から発生する塩素成分が「浮遊するウイルスや菌を除去し、においを消臭する」とうたっている。形状はストラップにつけられた名札型のもので、首からぶら下げて常に装着するよう促している。

しかし今商品を使用した上で幼児を抱っこしていたところ、幼児の胸部に体幹接触皮膚炎の重症が発生したとの報告(事故原因の確定はまだなされていない)をはじめ、自治体から2件、医療機関から3件、計6件の化学熱傷の報告がなされている。

化学熱傷とは化学物質による皮膚・粘膜の損傷(やけど)。多くは化学物質そのものによる細胞の障害や、二次的に生じる発熱作用などによって局所の炎症や組織壊死が引き起こされる。消費者庁側で商品内部にある錠剤について水を含ませるとpH試験紙で強酸性を示し、皮膚への刺激が推測された。

↑ 錠剤を豚肉に接触させると60分後にタンパク質の変性を確認。皮ふへの傷害影響の可能性を示唆するものである
↑ 錠剤を豚肉に接触させると60分後にタンパク質の変性を確認。皮ふへの傷害影響の可能性を示唆するものである

また化学熱傷の報告例でも多分に汗をかきやすい子供や、汗をかいた状況での使用がなされていることから、「汗が商品内に浸透して成分が溶けだし、皮ふと反応した」ものと推定される。

消費者庁では今回の発表に際し、使用している人はただちに止めるよう勧告すると共に、万一化学熱傷を発症した場合の症状と措置として、日本臨床皮膚科医会による言及

症状は、普通のかぶれ(通常数日後に発症)と違って、使用してから数時間で起こることが特徴です。症状もかぶれのかゆみではなく、やけどをした時の比較的強いヒリヒリした感じです。

除菌剤が当たっていた皮膚が赤くなっていたら、まず微温湯でしっかり洗い流し、早めに皮膚科を受診してください。

を紹介している。

次亜塩素酸ナトリウムはカビ取り用洗浄剤などにも使われている成分で、当然強力な作用を有する。商品説明書には「ウイルスなどの感染予防に強い味方になるはずです」とあるが、現状ではむしろトラブルの元となっている。特に保護者が子供のインフルエンザ対策として、購入している事例が複数確認されているため、使用している人がいたら、勧告に従い直ちに使用を止めるようにしてほしい。

なお類似商品「クイックシールドエアーマスク」を展開している中京医薬品は2013年2月19日付で【「クイックシールドエアーマスク」の安全性に関するお知らせ(PDF)】を発表し、その中で同社商品は今回問題となった「ウイルスプロテクター」とは原材料が異なる(亜塩素酸ナトリウムを使用)こともあり、”「化学熱傷」や「やけど」などによる、お客様並びに消費者庁からの報告は受けてございません。使用上のご注意をお守りいただき、安心してご使用下さい”と説明している。



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