避難所や店舗への緊急配送用として…セブン&アイ、燃料備蓄基地を建設
2013/05/23 10:45


↑ セブン&アイ・ホールディングスによる燃料備蓄基地(イメージ)
2011年3月に発生した東日本大地震・震災では製油所などの燃料拠点も被災し、交通網の混乱・寸断により、被災地だけでなく首都圏でも深刻なガソリン不足が発生した。また、現政府や経済界でもこれを教訓とし、災害に強い国造りを目指す上で、燃料の供給網確保を最重要課題の一つとして掲げている。
今回の燃料備蓄基地建築は、このような状況を重要視し、社会的責任ならびにBCP(Business continuity planning、事業継続計画)の観点から決定したもの。
備蓄基地の敷地面積は約650坪。施設としては地下タンクや給油計量機、上屋(キャノピー)、事務所などを設け、備蓄燃料としては軽油350キロリットル(緊急配送として利用)・ガソリン50キロリットル(予備)を常備(タンクの総容量は800キロリットル)。この備蓄量でイトーヨーカドー、ヨークマートの全店舗5100店ほどにおいて、約10日間の緊急配送をカバーできる。
耐震性は震度7を想定しており、停電や給油施設被災の場合でも、非常用発電機・手動ポンプを使うことで給油が可能。建設コストは約4億円で、セブン&アイ・ホールディングスが負担する。
なお平時では燃料の販売・配送事業を手掛ける三和エナジーが営業拠点として用いる(すでに契約・協定書を締結)が、これは備蓄燃料の劣化防止も兼ねる。そして災害発生時には当該備蓄燃料を避難所への緊急物資配送や、セブン&アイ各店舗への商品配送のために利用する。
この基地の存在により、首都直下地震などの大規模災害発生時において、被災地域をはじめとする避難所やセブン&アイ各店舗へ緊急物資・商品を、より迅速かつ確実に配送することが出来るようになるとのこと。
【ドコモ、太陽光発電で運用可能な「グリーン基地局」の実証設置実験開始】などでも触れているが、先の東日本大地震・震災によるインフラの途絶、混乱を教訓とし、小売業やインフラ運用業各社では、模索を続けながらではあるが大規模災害に備えた体制を整備しつつある。今件は小売業自らが大規模に燃料の備蓄を行うという、あまり耳にしたことがないレベルでの「備え」として注目に値する。
さらに平時においては燃料の販売業者に中継営業拠点として使用してもらうことで、備蓄燃料の劣化を防ぐ(さらには常時運用試験とトラブルの有無のチェックが出来る)という発想が素晴らしい。
今件施設の運用開始に伴う影響の一つとして、今後他社がどのような反応を見せるか、注目していきたいところだ。
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