電通、広告費減や保有証券下落で204億円の最終赤字・創業以来初
2009/05/12 07:01
広告代理店最大手の[電通(4324)]は2009年5月11日、2009年3月期における連結決算を正式発表した。それによると広告費の落ち込みや保有証券の評価損などを受けて、税引き後の最終利益が204億円の赤字に転落したことが確定した。前期は362億4600億円の黒字。これは単体決算を含めても2001年の上場以来はもちろんのこと、1901・02年度の創業以来初の赤字となる(【発表リリース、PDF】)。
【電通、保有株式の下落で上場初の最終赤字へ】にもあるように電通では直前に下方修正と最終赤字の見通しを発表しており、それもあわせて見ると、インターネット広告費(+16.3%)・衛生メディア関連広告費(+12.1%)などが堅調に推移し、またWBCや北京五輪の影響などで売上をかさ上げしたものの、既存4大メディアの広告費が-7.6%と下落するなど、景気を反映した状況となった。さらに有価証券の評価損を約500億円ほど計上し、これが大きく決算の値に響くこととなった。
電通の2009年3月期と2010年3月期(予想)における各業績項目(前年比)
直近の下方修正のリリース記事でも触れたが、電通側ではリストラなどを進めており、本業においては効率化の効果が見えつつある。しかしそれをもってしてもなお(リリース中に世界陸上や衆議院議員総選挙などの「広告業界にとって好材料」がある、と言及されながらも)2010年3月期は広告市場には厳しい状況が続くとし、本業においてはかなり下ぶれすると見越している。ただし2009年3月期にあった「有価証券評価損」の要素がなくなるため、最終利益については107億円の黒字を確保できると見越している。
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